【令和8年最新】技人国ビザの審査厳格化で何が変わる?不許可を防ぐ対策を行政書士が徹底解説

工場業務、貿易実務、SNS運営のイメージとともに、技人国ビザの審査厳格化と不許可対策を示したアイキャッチ画像

外国人材の雇用において最も一般的な在留資格の一つが、「技術・人文知識・国際業務」、いわゆる技人国ビザです。2025年6月末時点では、技人国の在留者数は45万人を超えています。多くの企業にとって非常に身近なビザといえます。

しかし、この技人国ビザに関して、令和8年(2026年)4月15日以降の申請に対する審査運用や提出資料の取扱いが明確化・厳格化される方針が示されました。

今回の厳格化では、主に次の点が重要になります。

  • 就業直後の実務研修に関する考え方
  • ホテル・旅館等で就業する外国人の業務内容
  • 翻訳・通訳業務など、言語能力を用いる対人業務における言語能力の証明

また、これに先立ち、カテゴリー3・4に該当する企業において派遣形態で就労する場合、申請時に派遣元・派遣先双方の誓約書が求められる運用も始まっています。

こうした厳格化のニュースを見ると、多くの方はまず、

「自分は許可されるのか」

「次回の更新は大丈夫なのか」

という点に注目されると思います。

もちろん、目の前の許可・不許可は非常に重要です。

しかし、入管業務を扱う行政書士として私が特にお伝えしたいのは、許可・不許可はあくまで入口に過ぎないということです。

技人国ビザは、単に「今回許可を取るためのビザ」ではありません。

職務内容や学歴・職歴との関連性をどのように整理するかによって、将来的な高度専門職への変更、さらには永住許可申請にも影響する可能性があります。

だからこそ、これからの技人国申請では、目の前の許可だけでなく、将来の在留資格変更・永住申請まで見据えたビザプラン設計が重要になります。

本記事では、入管業務を専門とする行政書士の視点から、今回の発表内容の本質と、今後の傾向・対策について解説します。

目次

厳格化でより重要になる「学歴」と「業務関連性」の確認

出入国在留管理庁(入管)は、技人国ビザの審査において、外国人の専攻科目(大学等で学んだ内容)と、就労先での実際の職務内容との「関連性」や「業務の専門性」を、これまで以上に厳格に審査する方針を固めました。

簡単に言えば、「大卒という肩書きだけでは足りず、実際の職務内容が専門的知識を要する業務であることをより厳格に確認する」という、入管からの強いメッセージといえます。

では、専攻科目と職務内容の業務関連性について、どういった基準で判定されるのでしょうか?大学・高等専門学校、専修学校に分けて、ご説明いたします。

大学・高等専門学校卒業の場合

ここで言う大学とは、日本で言うところの4年制大学2年制短期大学のどちらも含まれます。

大学・高等専門学校卒業である場合、専攻科目と職務内容の関連性における審査は比較的緩やかに行われます。出入国在留管理庁が公表している資料の一部を抜粋しておりますため、興味ある方はご確認ください。

大学に関する取り扱い

大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とし、また、その目的を実現するための教育研究を行い、その成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するとされており(学校教育法第83条第1項、第2項)、このような教育機関としての大学の性格を踏まえ、大学における専攻科目と従事しようとする業務の関連性については、従来より柔軟に判断しています(海外の大学についてもこれに準じた判断をしています。)。また、高等専門学校は、一般科目と専門科目をバランスよく配置した教育課程により、技術者に必要な豊かな教養と体系的な専門知識を身につける機関であるとされており、大学と同様、その目的を実現するための教育を行い、その成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとするものとされている(同法第105条第2項)ことから、大学に準じた判断をしています。

中国の高等教育機関に限ってみた場合、いわゆる「本科」大学卒が該当します。一方、「専科」については、日本の短期大学卒業に相当する場合もあれば、専門学校卒業に近いものとして判断される場合もあります。そのため、学校種別・教育課程・卒業証書の記載・中国高等教育学生信息網上の学歴情報等をもとに、個別に判断する必要があります。また、成人教育機関である場合、大学卒の学歴要件を充足しない可能性があり、こちらも個別確認が必要です。

中国高等教育学生信息網

https://www.chsi.com.cn

そして、もう一つの目安として、学位の有無にあります。日本では、4年制大学を卒業した場合には「学士」、短期大学を卒業した場合には「短期大学士」、高等専門学校を卒業した場合には「準学士」の学位・称号が付与されます。中国の教育機関を日本の制度に読み替える場合も、卒業証書学位証書の有無は重要な判断資料になります。

なお、私が取り扱った過去のお客様の中において、本科大学の課程を修了して卒業したが、「毕业答辩(卒業論文・課題の口頭試問)」を通過していないため学位は取得していないという方は何名かいらっしゃいました。この場合、実務上において、卒業証書のみで直ちに判断できず、CHSI上の学歴情報、卒業証書、成績証明書、学校発行の説明資料等をもって総合的に判断する必要があります。学位証書がない場合でも、直ちに諦める必要はありませんが、通常より慎重な資料整理と説明が必要になります。ご自身の学歴が技人国の学歴要件を満たすか不安な方は、個別にご相談ください。

専修学校

専修学校専門課程卒業、いわゆる「専門卒」です。専修学校の場合、「本邦の専修学校」に限定されます。つまり、日本の専修学校の専門課程を修了し、「専門士」または「高度専門士」の称号を取得している必要があります。海外の専門学校卒業は、日本の専修学校専門課程修了による学歴要件としては扱われません。(職務経歴年数が充足する場合は海外の専門学校の卒業生でも技人国を取得可能ですが、これは職務経歴をもって申請する場合であり、学歴要件をもって申請しているわけではありません。)

専修学校の場合、業務関連性は大学等と比較してより厳格に審査され、「原則として…専攻科目と従事しようとする業務については、相当程度の関連性を必要」とされています。ただし、専攻科目と職務内容に直接の関連性が認められない場合でも、「履修内容全体を見て…柔軟に判断」としています。

専修学校の中において、更に例外があります。

文部科学大臣が認定する「外国人留学生キャリア形成促進プログラム」の対象となる専修学校専門課程を修了した方については、大学卒業者に近い形で、専攻科目と職務内容の関連性が柔軟に判断される場合があります。

令和5年度外国人留学生キャリア形成促進プログラム認定一覧PDF

https://www.mext.go.jp/content/20240417-mxt_syogai01-000034602-2.pdf

単純労働の原則禁止

本来「技人国」という在留資格は、技術という枠組みにおいても単純な現場作業を広く認めるものではなく、基本的には学術的な専門知識や外国の文化に基盤を有する思考を必要とする「ホワイトカラー業務」を対象とするものです。

しかし近年、深刻な人手不足を背景に、「翻訳・通訳」や「海外マーケティング」といった名目で技人国の許可を得ながら、実態は工場でのライン作業、飲食店のホールスタッフ・調理業務、宿泊施設の清掃など、いわゆる「単純労働」に従事させている不適切なケースが散見されるようになりました。

また、近年では労働様式が多様化しており、派遣という就業形態も日本社会において一般的なものとなりました。そこで、外国人材に限っていえば、派遣元では技人国に適合する職務内容をもって雇用契約書を締結していながら、派遣先において、実際には単純労働に従事しているのではないかと疑われるケースが問題となっていました。これこそが、カテゴリー3・4に該当する企業における技人国申請において、派遣関連の誓約書が追加された大きな背景の一つであると考えられます。

日本社会において人手不足が深刻化している以上、外国人材の受入れ自体は、単なる人手不足対策にとどまらず、社会構造の国際化にもつながるものであり、私は基本的に健全な方向性であると考えています。

しかし、これらの単純労働を行うための在留資格として、「特定技能」が設けられています。そのため、技人国を名目に、実態としては単純労働に従事させるような不適切な運用を防ぐことが、今回の厳格化の大きな目的の一つであると考えられます。日本の法制度と労働市場の秩序を守るため、審査官の目はこれまで以上にシビアになっていくでしょう。

具体例3選、及び日本語能力の要否について

宿泊業貿易業SNSマーケティングの3ケースに分けて、ご説明いたします。

宿泊業(※現業リスクが極めて高い)

企業側が悪意なく、都合よく解釈しがちで、不許可リスクが跳ね上がっているのが宿泊業界です。

当初採用した目的は、「外国人客の対応(通訳)」だった企業がほとんどでしょう。そして、これは宿泊業界に限定されていませんが、入社直後に一定期間、現場を理解するための実務研修を行うこと自体は、直ちに否定されるものではありません。しかし、その期間・内容・研修後に従事する専門業務との関係を合理的に説明できなければ、単純労働に従事しているものと判断されるリスクがあります。

更に問題となるのは、長期間勤務していく中で生じる、予期しない業務比重の変化です。

長期的に勤務していく過程において、いつの間に本業である専門業務が減り、ベッドメイキング、レストランの配膳、駐車場の案内、あるいは単なるチェックイン・アウト等の定型業務の比重が増えていき、最終的にはこれらの単純労働に勤務時間のほとんどを取られてしまう状況に置かれます。

こうなると、意図せずに「専門性のない単純労働」とみなされ、更新が不許可となる可能性が高くなります。「1日の中で、本当に高度な語学力を要するコンシェルジュ業務や、多言語での集客企画業務が占める割合はどれくらいか?」を入管は厳しくチェックします。

こんなことはどこで知るの?とお思いかもしれません。

一つは、他人による通報です。職場における人間関係のもつれ、善意の第三者など、さまざまな可能性があります。

もう一つは、出入国管理局による抜き打ち調査です。抜き打ち調査では、事前通知なく実際の勤務状況を確認されることもあります。

そして、日本語能力の要否については、業務上どの言語を使用するかによって判断する必要があります。もっとも、日本国内のホテル・旅館で外国語版ホームページ作成、館内多言語案内の作成、外国人宿泊客への対応などを行う場合、多くは日本語で業務指示を受け、日本語資料を理解したうえで外国語へ翻訳・調整することになります。そのため、実務上は日本語能力が重要な判断材料となり、CEFR・B2相当の日本語能力を証明できる資料が必要となる可能性が高いと考えます。具体的には、JLPT N2以上等が一つの目安になります。

貿易業

「海外取引先とのやり取り」を名目とするケースです。貨物量が極端に少ない・既存の取引先との定型的なメールのやり取り・エクセル等を使用して貿易書類をもっぱら事務的に作成する場合、専門性が否定される可能性があります。更に、業務の実態が「倉庫での商品のピッキングや梱包作業」のみである場合、更新においては不許可となるでしょう。

次に、日本語能力の要否について、業務内容の違いにより、分けて考える必要があります。

実は貿易業という業種は、人文知識とも国際業務とも解釈することが可能です。

貿易実務を行う場合、貿易条件(インコタームズ)を理解し、そのうえで船便/フライトのアレンジを行う、インボイスやBL等の書類作成、通関対応など、これらは国際取引・商学・経済・物流管理に関する知識を要する業務として、人文知識に該当し得るといえます。

他方で、職務内容が「海外取引先との外国語によるやり取りを通じて納期調整」、「取引書類や契約書類の翻訳」などの場合は翻訳・通訳である側面が強いため、国際業務に該当します。

貿易実務を行う場合、貿易書類の作成が主業務であり、業務上使用する言語が主に英語や母国語で完結する場合、日本語能力証明は直ちに問題とならないでしょう。

ただし、日本語での社内外調整、通関業者・物流会社との連絡、取引条件の確認等が業務の主な比重を占める場合には、日本語能力の証明が必要となる可能性が高くなります。

つまり、貿易実務の場合、業務内容の比重により個別に判断する必要があります。

SNSマーケティング

近年増えているのが「海外向けのSNSマーケティング担当」です。これも注意が必要です。誰でもできるような簡単な写真投稿や定型文のアップロードだけでは、専門的な知識を要する業務とは認められません。データ分析に基づくマーケティング戦略の立案など、大卒レベルの専門性が客観的に証明できるかが鍵となります。

そして、このケースにおいても、マーケティング等がメインなのか、通訳・翻訳がメインなのかにより日本語能力の要否判断は異なります。

例えば、日本で活動する中国系企業で勤務し、中国人上司から指示を受けてマーケティング調査を行うケースにおいて、中国語のみで一連の作業を完結できる場合、日本語能力を要しないでしょう。しかしながら、日本の社会通念から見ると、やや強引な説明であると感じます。実務上、そのような説明がなされるケースもありますが、その事実の証明を行うためには客観的な補足資料や説明文書を作成しなければなりません。

一方、SNS投稿や配信原稿を外国語から日本語に翻訳する場合や、日本語で配信・カスタマー対応を行う場合には、通訳・翻訳としての側面が強くなります。この場合、日本語能力の証明が必要となる可能性が高いでしょう。

番外編:ドラッグストアのホームページ作成業務は技人国で認められるのか?

実務上、ドラッグストアで「ホームページ作成」や「SNS運営」を担当するという説明で相談を受けることがあります。

例えば、日本語能力が十分ではない方が、ドラッグストアで「ホームページのITリソース構築」を担当するというケースです。この場合、私はまず業務の継続性勤務時間の比重に疑問を持ちます。

というのも、ホームページは通常、一定期間で完成し、その後公開されます。公開後に定期的な保守作業が必要になることはありますが、それだけで勤務時間の大部分を占めるとは考えにくいからです。

さらに、その他の業務としてドラッグストアにおける接客業務も行うという条件がある場合は、特に注意が必要です。

確かに、外国人観光客が主に利用するドラッグストアは一定数存在します。しかし、通常、日本のドラッグストアにおいて、利用客の大部分が外国人であるとは想定しにくいです。そうなると、日本語で接客できないという問題が先に発生します。そして、接客業務のみでは単純労働である側面が強くなります。

そこで、接客のみではないとしても、実際にはホームページの作成や保守よりも接客時間の方が長いのではないか、という疑問が生じます。

このようなケースでは、利用者層、ホームページ作成・保守業務と接客業務の勤務時間割合、実際の業務内容を客観的資料で説明できるかが重要になります。これらの資料を準備できない場合、技人国での申請は慎重に考える必要があります。

この話からお伝えしたいことは、在留資格の申請において、合理性はとても大事だということです。

最後に:入管に疑われないために重要なこと

従来、技人国ビザの申請において、業務内容に関する判断は単に雇用契約書上における「通訳」、「海外取引」、「SNS運営」等をもって判断するものではありません。この度の厳格化において、業務内容については更に徹底的に確認されるでしょう。

スムーズに許可を取得するうえで、大事なのは、実際の業務内容について、

  • どの業務を、どれくらいの時間行うのか(比重)
  • その業務に専門性があるのか(専門性)
  • 単純労働ではないと客観的に説明できるのか(客観的説明)

といった点です。

そのため、案件によっては、より詳細な職務内容説明書を作成する必要があり、1日の業務スケジュール業務量を示す取引資料、作成物のサンプル、社内体制図業務場所の写真などを準備する必要があります。

ただし、単に資料は多ければよいというものではありません。

重要なのは、その方の実際の業務内容に合った資料を選び、申請全体として合理的な説明になっているかです。

法理の観点から言えば、在留資格の要件は法令に定められています。

しかし、入管審査には、法令上の要件を前提としつつも、個別事情を踏まえた広い裁量判断が伴います。

「他の会社がこの書類で通ったから、うちも同じテンプレートで大丈夫だろう」という安易な考えは、厳格化が進む今後の審査において命取りになります。

法令の趣旨を理解した上で、審査実務上どの点が重視されるのかを予測し、

「なぜこの外国人でなければならないのか」

「なぜこの業務が専門的と言えるのか」

を、緻密なロジックで構築することが求められます。

要件の表面だけをなぞるのではなく、実態に即したクリーンで強固な申請を行うこと。

それこそが、企業にとっても外国人材にとっても、最も安全で確実な最短ルートとなるのです。

繰り返しとなりますが、今回の厳格化のターゲットは、「技人国ビザを取得していながら、その実態は単純労働」というケースです。

ここで皆さんにぜひお伝えしたいのは、これは外国人側を一方的にターゲットにしているというより、故意に外国人に不法就労させる企業を防ぐための動きでもあるということです。出入国在留管理庁がこのような厳格化の動きをするのは、単に外国人を追い出したいからではありません。むしろ、日本の法制度を守ること、一般的に立場が弱くなりやすい外国人労働者を保護することにもつながります。したがって、今回の厳格化を「外国人排除の動きだ」と短絡的に結びつけ、必要以上に悲観する必要はありません。

また、冒頭でお伝えしたように、ビザ申請において、許可/不許可という結果はもちろん大切です。

しかし、それだけではなく、今後継続的に在留資格を維持できるか、さらに高度専門職、最終的には永住へとつなげていけるかが、日本での生活設計において非常に重要になります。

だからこそ、私は申請人である外国人の皆さま、制度に則って適正に外国人材を雇用したい企業の味方でありたいと考えています。

私のモットーは、

「あなたの在留資格に関する悩みを解決し、日本における人生設計の手助けをすること」

です。

技人国の取得・更新に不安がある方、将来的に高度専門職や永住まで見据えたい方は、ぜひ一度ご相談ください。

一緒に、未来を見据えたビザプラン設計を行いましょう。

井上 義博
代表行政書士
大阪堺筋本町にある行政書士法人に在籍している間、私は約1200回の相談を受け、そのうち約300名の方から在留資格に関する各種申請依頼を受けました。これまでの経験を通じて、外国籍の皆様が「和やか」に日本で暮らすことができるように、気軽に相談できる「友人」のような行政書士を目指してYUWA国際行政書士事務所を設立しました。
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