【2026年最新】永住許可ガイドライン改訂に伴う、今後の永住申請の傾向と対策

永住許可ガイドライン改訂

皆さん、こんにちは!

中国語を話せる行政書士、井上義博です。

本年2月、「永住許可に関するガイドライン」が改訂されました。これまで、永住申請において審査されるポイントは大きく分けて「居住要件」、「生計要件」、「素行要件」の3つであり、「3年の在留カード+10年日本居住+5年間年収300万円維持」がもっとも基礎的な条件であると考えられてきました。今回の改訂により、永住申請の条件に様々な変化が生じたため、審査も更に厳格なものになることでしょう。

※永住許可に関するガイドライン

https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyukan_nyukan50.html

この記事では、永住申請に関する現時点で判明している変化点と、国際業務の現場から見えるリアルな予測、そして「今、私たちが取るべき具体的な対策」について解説します。

目次

変化点1:令和9年4月以降、「在留期間5年」が必須要件に(経過措置の終了)

永住申請の要件の一つに「現に有している在留資格について、最長の在留期間をもって在留していること」という規定があります。

法令上、最長の在留期間は「5年」ですが、これまでは「当面の間、在留期間『3年』をもって最長の在留期間とみなす」という経過措置(特例)が認められていました。そのため、3年の在留カードを持っていれば永住申請が可能でした。

しかし、この経過措置は令和9年3月31日をもって終了することが発表されました。つまり、令和9年4月1日以降に永住申請を行う場合、原則通り在留期間「5年」のカードを持っていないと、申請できません。(厳密には申請はできるが、不許可になることはほぼ間違いなしです。)

ただし、「令和9年3月31日の時点において在留期間「3年」を有する者については、当該在留期間内に処分を受ける場合、その初回に限り前記1(3)ウの「最長の在留期間をもって在留している」ものとして取り扱う。」としています。

少しわかりにくいと思いますが、要するに、令和9年3月31日時点で在留期限3年の在留カードを所持している場合、永住申請して結果が出るまでに在留期限が到来しないのであれば永住申請は可能ということになります。

私見ですが、この部分については少し不透明であると感じています。

というのも、入国管理局は永住申請の標準処理期間を「4~6ヶ月」としていますが、地方によってはかなりばらつきがあります。東京では実際2年ほどかかると言われていますし、大阪の場合は8ヶ月~1年ほどが現状の実際の処理期間です。条文通りに解釈すれば、令和9年3月31日に4~6ヶ月の在留期間がまだ残っていれば申請できると捉えていいと思いますが、できるだけ早く申請を提出するに越したことはありません。

今すぐ駆け込み申請を行うべきか

では,今から駆け込み申請を行うべきかどうか,2ケースに分けてお伝えします

ケース1:居住、生計、素行の全要件を問題なく満たしている方

現在「3年」の在留期間を持っており、他の要件(居住、生計や素行など)を問題なくクリアしている方は、令和9年3月31日までに申請を完了させる「駆け込み申請」を強く推奨します。

ケース2:要件適合に微細な瑕疵がある方

例えば5年のうちの1年だけ年収が少し足りないなどがこのケースに該当します。この場合、「駆け込み申請」を推奨しません

このケースの場合、これまでは理由書や最新の源泉徴収票を添付することで申請して許可を取得することができましたが、ガイドライン改訂のこのタイミングで駆け込み申請したとして、東京や大阪などの申請人数が多い入国管理局における審査開始は来年以降になります。そうなると現在抱えている微細な瑕疵+在留期間5年を取得していないの2点が積み重なるため、より消極的に評価されるでしょう。

この話は決してただの推測ではなく、令和7年10月に行われた在留資格「経営管理」に関する法改正後の動向をもとに判断しています。

昨年9月に経営管理の在留資格認定証明書交付申請を駆け込みで行ったケースにおいて、不許可となった案件の理由を私が審査官に面談で確認したところ、「原則、旧上陸基準省令に基づいて審査するが…」というコメントがありました。

この「原則…が」というニュアンスは非常に大事です。つまりは、建前として旧基準をベースとしつつも、実質的な裁量判断においては「新基準も考慮して審査している」と捉えていいでしょう。

少し話は脱線しますが、日本国憲法第39条において、「何人も、実行の時に適法であった行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。」と定められています。これは刑事罰に関する規定ですが、憲法39条の精神は「法の不遡及(法令の効力はその法の施行時以前には遡って適用されない)」にあります。ここから類推して、入管関連法規の法改正においても同様の扱いであろうと考えられていました。そして,施行前の申請については旧基準で審査されるという結論が導き出されました。 

しかしながら、在留資格の審査において、入国管理局には広範な裁量権が認められています。

此度の法改正は在留資格経営管理の悪用を防ぐためのものであり、ひいては社会保障等資源の流出抑制など、国民(日本国籍)の利益を守ることにもつながります。ですので、この件に限って言えば、遡及適用は「国民の利益になる場合や、国民の権利義務に影響がない場合には、遡及適用を行うことも許される」という考え方に通ずるものがあり、実際の現場審査は「裁量権の範疇」で、非常にシビアに行われました。

※経過措置と遡及適用(参議院法制局)

https://houseikyoku.sangiin.go.jp/column/column009.htm

ここから導き出される結論として、今回の永住許可ガイドライン改訂においても、同様の事象が発生すると十分考えられます。したがって、要件に微細な瑕疵がある状態で無理に駆け込み申請をするのはリスクが高く、まずはクリーンな実績を積み上げていくことこそが、結果的に永住許可への最短ルートになるのです。

変化点2:「日本語能力要件」の追加(N2か、N3か?)

これまで、永住申請において、明確な日本語能力は求められませんでした。しかし、今後の法改正において「日本語能力要件」が正式に追加される見込みとなっています。施行時期は令和9年度と言われていますので、早ければ令和9年4月からの適用となっても不思議ではありません。

一部の報道では「N2レベル」が求められるのではないかと噂されていますが、今回は「現場」の視点から、さらに一歩踏み込んだ予測を立ててみます。

そもそも、日本国籍を取得する「帰化」手続きにおいて、現状、小学校3年生程度(日本語能力試験N3レベル)の日本語能力が求められています。3月に発表された帰化審査厳格化はまだ記憶に新しいところですが、これはもともと「帰化」よりも「永住」の方が、さまざまな面で要件が厳しく、制度上のねじれがあったことに起因しています。

では、今後の永住申請において、帰化よりもさらに高い日本語能力水準である「N2」が本当に求められるでしょうか?

私は「法的な整合性の観点から疑問が残る」と考えます。

そのため、実際の運用ではN3程度に落ち着く可能性は否定できません。長年日本で生活されている皆さんの多くはN3程度の日本語能力があると思いますので、お時間があればぜひ日本語能力試験(JLPT)を受験しておくことをお勧めします。もちろん、それ以上のレベルを目指せる方は、ぜひN2やN1を取得してアピールしましょう。

一方で、楽観視ばかりはできません。帰化の厳格化においては法改正ではなく、「法務大臣の裁量の範囲内における審査の運用変更」という形で実質的な締め付けが行われました(国籍法上の居住要件は「5年以上」ですので、10年以上を求めることはこれに抵触しませんが、裁量の大きさには驚かされるばかりです)。さらに、居住年数を10年に引き上げるなどの新条件は、すでに申請中の方に対しても実質的に遡及して適用する動きが見られました。ゆえに、今回の永住申請厳格化でも永住の日本語要件を「N2」と高く設定し、それに引きずられる形で帰化の日本語要件も一緒に引き上げられるシナリオも十分に考えられます。今後の入管の動向を厳しく注視していかなければなりません。

変化点3:生計要件の厳格化(年収300万円限界説)

永住申請における生計要件(年収)について、入国管理局のガイドラインでは明確な数値が示されていません。これまでは実務上、過去3年〜5年間(配偶者ビザとその他のビザによる違い)の年収について、単身世帯の場合は「300万円以上」であることが一つの目安とされてきました。

しかし、昨今の歴史的な物価高騰、社会保険料の引き上げ、そして日本国内の平均年収の上昇に伴い、「単に年収300万円ギリギリを維持しているだけでは、不許可になるリスク」が現場の温度感として非常に高くなっています。インターネットの古い「300万円でOK」という情報を鵜呑みにするのは極めて危険です。単身世帯の場合、今後の永住申請においては年収350万円をベースに考えていきましょう。

また、配偶者や子供を扶養している場合、1人追加するごとに約50万〜80万円の年収上乗せが必要になります。単身世帯の基準が上がっている以上、扶養家族がいる方のハードルも実質的に上がっている点には、十分な注意が必要です。ただし、住居が持ち家である、資産が多いなど、様々な条件から総合的に判断する必要があるため、ご自身の条件に不安があれば、ぜひご相談ください。

その他:見落としてはならない最新情報

法改正の波は、申請時の要件だけにとどまりません。取得後、そして日々の暮らしにおけるルールも厳格化されています。

公的義務(各種税金,年金・健康保険)の納付遅れに対する絶対的な厳格化

単に「未納がないこと」だけでなく、「期日(納期限)通りに支払っているか」がかつてないほど徹底的にチェックされます。

本年(令和8年)6月14日から、マイナンバーカードと在留カードを一体化した「特定在留カード」の運用開始が予定されています。これにより、入国管理局は更に各地の役所と連携を取りやすくなり、各種税金や年金・健康保険の納付状況確認がより厳しくなることでしょう。

「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザで滞在している会社員のほとんどは、各種税金や年金・健康保険が給与から天引きされるため、こういったトラブルは発生しにくいと思います。

ここで特に気を付けていただきたいのは「経営管理」の在留資格を持つ方であり、納付書によるコンビニ払いではうっかり忘れが発生しがちです。せっかく他の条件を満たしているのに、うっかりミスで不許可になるのは非常にもったいないので、口座振替にしていない方は今すぐ手続きをしてください。

永住許可の「取消制度」の新設(令和6年成立・公布,令和9年4月施行予定)

故意に税金や社会保険料等を滞納した場合や、重大犯罪を犯した場合など、すでに取得した永住権が取り消される制度が新設される予定です。「取ったら終わり」ではなく、取得後もクリーンな状態を維持し続ける必要があります。

そして、「永住を取り消された場合どうなるのか」ということは皆さんも気になるところでしょう。

納税義務等の不履行等、軽度なもので永住者の在留資格を取り消された場合、「定住者」などの別の在留資格への変更を余儀なくされるでしょう。また、重大犯罪を犯した場合ですが、最悪のケースとして「退去強制(いわゆる強制送還)」の処分とされることも十分に考えられます。

最後に:不安を感じる方が今すぐ取るべき行動

令和9年の大改正に向けて、永住申請の要件は厳しくなる一方です。

先述のように、私自身は無茶な駆け込み申請を推奨いたしません。行政書士としては挑戦的な案件であるため、そういった案件を引き受けた場合は気持ちが高ぶり、メラメラと燃えながら申請書類を作成して最大限の援護射撃をさせていただきます。しかし、お客様にとってはやはりリスクであり、私としても大切なお客様の経歴に「不許可」という履歴を絶対に残したくありません。

一方で、現在、すでに申請要件をクリアできている方にとっては、「1日でも早く動くこと(確実な駆け込み申請)」が最大の防衛策となります。要件判断など、何か疑問や不安を抱えていらっしゃる場合は、ぜひ一度ご相談ください。

また、「要件が厳しくなって、自分はもう永住申請できないかもしれない…」と諦める必要はありません。特に「技術・人文知識・国際業務」や「経営管理」ビザをお持ちの優秀なビジネスパーソンや経営者の方であれば、通常の10年居住ルートではなく、「高度専門職(高度人材ポイント制)」を活用して、1年または3年で永住権を取得するショートカットが使える可能性があります。 現在、高度専門職の在留資格を所持していなくても、「みなし高度専門職」というメソッドもありますので、諦めずにご相談ください。

YUWA国際行政書士事務所では、言葉の壁を取り除き、行政書士と直接中国語でコミュニケーションをとることが可能です。通訳を介さないため、複雑な家庭事情や収入低下の具体的な原因など、細かなニュアンスまで正確に把握し、あなたに最適なオーダーメイド申請プランをご提案いたします。

「自分の年収で申請できる?」「高度専門職のポイントは足りている?」など、どんな些細な疑問でも構いません。

初回面談は無料ですので、WeChatやLINE、お問い合わせフォームから「友人に相談するような感覚で」お気軽にご連絡ください。

井上 義博
代表行政書士
大阪堺筋本町にある行政書士法人に在籍している間、私は約1200回の相談を受け、そのうち約300名の方から在留資格に関する各種申請依頼を受けました。これまでの経験を通じて、外国籍の皆様が「和やか」に日本で暮らすことができるように、気軽に相談できる「友人」のような行政書士を目指してYUWA国際行政書士事務所を設立しました。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次