経営管理ビザ更新の注意点~令和7年法改正対応~

皆さん,こんにちは!
中国語を話せる行政書士,井上義博です。
昨年,在留資格「経営・管理」に係る「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令(平成二年法務省令第十六号)」及び「出入国管理及び難民認定法施行規則(昭和五十六年法務省令第五十四号)」の一部が改正され,同年10月16日に正式に施行されました。今回の法改正は在留資格経営管理の「超厳格化」と言えるものであり,日本で会社経営されている外国籍経営者の皆様にとっては青天の霹靂と言えるでしょう。今後自身のビザを更新できるかについて,さぞ,ご心配のことかと存じます。
さて,法改正から半年以上経過しており,私自身も新基準下で様々な経営管理の更新案件に携わってまいりました。これまでの経験と事例を踏まえて,この記事では今後経営管理ビザを更新する際に注意すべきポイントをいくつかご紹介いたします。
少し長い記事になりますが,ぜひ,在留資格経営管理をお持ちの方は最後までご一読ください。
新基準について
最初に,新基準と旧来資本金500万の基準の違いについてもう一度みてみましょう。
上陸基準省令における主な変更点は資本金,申請人の経歴要件,日本語能力,常勤職員,事業所の取り扱い,事業計画書の取り扱いの6点になります。以下の表をご覧ください。
| ― | 従来の基準 | 新基準 |
| 資本金 | 500万円 | 3,000万円 |
| 経歴要件 | 特になし | 以下いずれかに該当 ①経営管理⼜は申請に係る事業の業務に必要な技術⼜は知識に係る分野に関する博⼠、修⼠の学位を所持 ②事業の経営⼜は管理について3年以上の職歴がある |
| 日本語能力 | 特になし | 申請人あるいは常勤職員のいずれかにCEFR・B2相当(日本語能力試験のN2レベル)の日本語能力が必須 |
| 常勤職員 | 500万円の資本金要件を満たせば,指定なし | 日本人,永住者,定住者,日本人の配偶者,永住者の配偶者のうち,必ずいずれか1名以上雇用 |
| 事業所 | 条件を満たせば自宅に設置可能 | 完全独立(自宅兼事業所は原則不可) |
| 事業計画書 | 特になし | 経営に関する専門的な知識を有する者(会計士,税理士,中小企業診断士など)の確認が必須 |
では,すでに経営管理ビザを取得している方の扱いはどうなるでしょうか?
既に「経営・管理」で在留中の⽅については施⾏⽇(令和7年10月16日)の3年後である(令和10年10⽉16⽇)に基準を満たす必要があります,ただし,令和10年10月16日以降,新基準を満たしていないとしても,「経営状況や改正後の許可基準に適合する⾒込み等を踏まえ,許否判断を⾏います。」としています。
在留期間更新許可申請時に気をつけるべきポイント
次に,今後経営管理ビザを更新する際の注意点についてみていきましょう。
更新にあたり,上記の新基準に直ちに適合できるのであれば,それに越したことはありません。とはいえ,資本金を今すぐ更に2500万円調達できない方もいるでしょうし,常勤職員の雇用も採用活動を開始していきなり自社が求める人材を採用できるのは現実的ではありません。
では,新基準に適合できない間,ビザ更新するときにどうすればいいのでしょうか?
事業の実態性,新基準適合に向けた計画的な経営活動,法令遵守の3点が更新申請の可否を左右する重要な分かれ目になります。
- 1.事業の実態性
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この点は一番重要であると言えます。
そもそも,この度の法改正の原因はなんだったのでしょうか?
根本的な一因は一部の外国人による「在留資格制度の悪用」です。ペーパーカンパニーを設立して,経営管理ビザを日本移住するための手段として利用する方が一定数いることは否めません。法改正はあくまでもこれら制度を悪用している一部の経営の実態がない方を対策するためのものであり,日本国の外国人制度適正化を図るためのものです。決して,日本で経営管理ビザを取得した外国人すべてを追い出したいわけではありません。
ですので,日本で経営活動を行っている実態があると認められることがとても大切です。
実態があると認められるにはどうするべきかについて,以下の3点をご確認ください。
不要な不急な日本出国を減らす
日本にいないとそもそも経営活動をしていないと判断される可能性が高いです。
今の御時世,テレワークの普及により遠方からでも仕事できるため,この判断はアナログ的すぎると感じるかもしれません。しかしながら,日本の社会通念上,そもそも経営者がいないと会社の経営活動を展開できないのではないかと考えられています。ですので,あまり日本にいらっしゃらない場合,審査官から事業の実態性を疑問視されても不思議ではありません。
「郷に入っては郷に従え」です。ここは出入国管理国の考え方に従いましょう。
証拠書類を補足して提出すること
決算書などの必須書類を提出することはもちろんのことですが,更に実態性を証明するための補足書類も提出するようにしましょう。例えば,貿易事業を行っている事業者の場合,取引先と締結した契約書,在庫商品の写真,インボイス・パッキングリストやB/L等の貿易書類を補足として提出するとより事業実態の信ぴょう性を証明できると思います。
すべてのビザ申請に言えることですが,証拠書類を提出しすぎるということはありません。提出すべきかどうか判断がつかない場合は行政書士と相談して決めましょう。
不本意に長期出国した場合は説明文書を提出すること
法改正以降に取り扱った案件の中で長期出国している方のほとんどは不許可でした。更新できた方は2名のみです。
そのうち1名は世界各地に何社か会社を経営しており,日本を含む全社で億~十億円単位の売上を維持しております。この方の場合,過去1年間の世界各地における詳細な活動内容報告と証拠書類を取りまとめて出入国管理局に提出しました。
最終的に事業の実態があると認められたと考えられます。
もう1人の方は中国に帰郷中に体に「フライトに搭乗できない」ほどの不調をきたしたため,約3ヶ月間受診と治療のために中国で通院しました。この方の場合,通院した際の領収書や診察結果,ご家族の方とのSNSのやり取りのスクリーンショット,病院内で撮影した写真も2~3枚ありましたため,これらを整理して入国管理局に提出しました。更に,出国中に日本の取引先とやり取りしたメールなどのスクリーンショットも添付し,無事更新することができました。
この場合,日本に戻ることができないやむを得ない事情があったこと,出国中もビジネスを停滞させずに経営活動を続けたことの2点が出入国管理局に認められたと考えられます。
- 2.新基準適合に向けた計画的な経営活動
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先述の通り,出入国管理局は新基準への適合について猶予期間を与えており,令和10年=2028年10月16日以降に更新するときに適合する必要があるとしています。
では,それまでに何もせず,現状維持でも問題ないでしょうか?
私は現状維持だけでは足りず,不許可リスクがあると考えます。
会社経営は長期的なものであり,通常,一部の業界を除いて,ある時点で急激に業績が伸びることは考えにくいでしょう。仮に,2026年と2027年にそれぞれ売上高1,000万円,当期純利益100万円の会社があるとしましょう。この会社が2028年に売上高と当期純利益が劇的に上昇して,新たな株主出資なしで資本金を3,000万円に増資できる可能性はかなり低いように感じます。これは,出入国管理局にとっても同じであるため,現状維持のみではビザ更新時に不許可となってしまう可能性があると言えます。
ここでの大事なポイントは,どの時期に,どのようにして新基準に適合するための経営計画を策定し,出入国管理局に理解してもらうことです。
資本金についてはいつ,いくら増資を行う計画を可能な限り明確に出入国管理局に提示しましょう。
事業所を自宅に置いていらっしゃる方は早い段階から事業用の物件を確保しましょう。外国籍の方にとって日本で賃貸物件を借りることが難しいことは重々承知しておりますが,まったく動かないわけには行きません。探したけど契約できなかった場合,不動産仲介業者や家主とやり取りした履歴などを証拠として提出しましょう。
常勤職員についてはいつ募集を開始するのか,どういったスキルを持つ人員でどのような業務を担当してもらうのかを出入国管理局に説明しましょう。
※常勤職員の部分について,皆さんにぜひ伝えたいことがありまして,そもそも経営管理の在留資格は日本で経営や管理活動を行うための在留資格であるため,現業禁止です。ですので,できるだけ早く採用活動を開始することをおすすめいたします。
- 3.法令遵守
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法令遵守という言葉を聞くと,真っ先に犯罪しないことという印象を持たれがちですが,そこについては皆さん問題ないかと思います。
経営管理の在留資格を持つ皆様については更に以下のことに気をつけてください。すべて実際にあった事例を解析して導き出した内容です。
所属機関に関する届出
事業所を移転した場合,14日以内に出入国管理局に届出を提出してください。
社会保険料の適正納付
納付漏れ・滞納がないように気をつけましょう。口座振替にすると安心です。
雇用保険と労災保険の加入
職員がいらっしゃる場合は,雇用保険と労災保険の加入手続きを必ず行ってください。「日本の制度を知らなかった…」は通用しません。
雇用保険については労働時間が週20時間以上,または31日以上引き続き雇用する場合加入が必須です。
労災保険については雇用形態・労働時間にかかわらず,職員を1名でも雇えば加入が必須です。
なお,経営者と同居している親族については原則雇用保険と労災保険に加入できません。家族滞在の配偶者が資格外活動許可を取得して自社で就業している場合,その旨を出入国管理局に説明しましょう。
外国人雇用状況の届出
外国籍の方を雇用した場合,あるいは自社より離職した場合,ハローワークに所定の届出を提出しましょう。オンラインで届け出ることも可能です。
よくある質問
最後に,経営管理の在留資格を持つ方からよくされる質問を何個かご紹介いたします。
問1 いつ増資・職員雇用・事務所移転すればいい?
答 できるだけ早くです。
問2 増資は複数回に分けてもいいの?
答 2028年10月16日までに複数回に分けて増資してもいいと思います。
問3 会社の口座に3000万円あるけど,増資必要?
答 必要です。
資本金とは登記事項証明書に登記されている登録資本金のことであり,会社の口座にあるだけの状態では資本金3,000万円とはなりません。
税理士や司法書士の先生と相談して,登記手続きを行いましょう。
問4 会社名義の不動産で増資できる?
答 結論から申し上げますと,可能です。現物出資といいます。
しかし,仮に購入時に3,000万円で購入した不動産であっても,そのまま購入価額の3,000万円として出資することはできません。改めて不動産鑑定士の鑑定評価を受け,その評価額の価値をもって出資することとなります。
問5 どこで人を募集したらいいの?
答 無料の求人サービスとして,政府が運営している就職支援機関ハローワーク(正式名称:公共職業安定所)があります。有料サービスですと,日本で主流なマイナビ,リクナビなどもございます。管理職の採用をお考えの場合,ビズリーチなどの専門サービスをご利用ください。
問6 社会保険や労働保険に加入して,友人に「籍」だけを置いてもらってもいい?
答 絶対ダメです!
出入国管理局は不定期で実地調査を行いますし,このような名義貸し行為は出入国管理局にとって虚偽申請になります。ご友人とご自身にとってメリットは一つもありませんので,絶対やめましょう。
問7 長期出国はどれぐらいの期間を指しますか?
答 諸説ありますが,まず,出入国管理局が公表しているQ&Aにおいて「決定された在留期間のうち、累計でその過半を超える期間」としています。
これをみて1年のうちの半分と考える方もいらっしゃいますが,1ヶ月継続して日本を離れた場合は長期出国に該当するとお考えください。
最後に
個人的な感想ですが,この度の法改正は「一部の人の不正で善良な大多数が割を食う」状況にあると感じております。
「少しやり過ぎでは?」と思うところもありますが,ペーパーカンパニーが乱立している事実も否めませんので,内心はかなり複雑です。
しかしながら,真面目に会社経営をされている方がほとんどですので,私は行政書士として引き続きビザの面で全力を尽くして皆さんをサポートしていきたいと考えております。新基準について,皆さんはさまざまな疑問をお持ちでしょう。早期相談・早期対策が有効ですので,どんな些細なことでも,ぜひ,ご相談ください。
YUWA国際行政書士事務所では経営管理ビザ更新のご依頼を随時受付中です。
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初回相談は1時間まで無料です。
ぜひ,ご利用ください。


